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パブリッククラウドに迷うあなたへ!セキュリティ面から見た各社サービスの比較分析

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パブリッククラウドとは

パブリッククラウドは、インターネット経由で提供されるクラウドサービスの形態の一つで、多数の企業や個人ユーザーが共有する「公共のクラウド」のことを指します。このパブリッククラウドは、情報技術基盤(ハードウェア、ストレージ、ネットワークデバイス)およびプラットフォーム(OS、データベース)まで含まれた形で提供され、利用者はそれをレンタルする形で利用します。

各種リソースは電源を入れるだけで即座に利用可能で、必要に応じてスケールアウトやスケールインが容易に行えるという大きなメリットがあります。また、高度に自動化された運用管理および効率的なリソース共有により、コストパフォーマンスが優れています。

パブリッククラウドの典型的な利用例としては、Webシステムやメールシステムのホスティング、大量のデータを分析するためのビッグデータ分析環境、AIやIoTの開発・テスト環境などがあります。

大手のパブリッククラウドサービスプロバイダとしては、AmazonのAWS、GoogleのGoogle Cloud Platform、MicrosoftのAzureなどがあり、それぞれ特色となるサービスや機能を持っています。例えば、AWSでは堅牢なセキュリティ対策やグローバルに張り巡らされたデータセンターネットワークが特徴であり、Google Cloud PlatformではAIや機械学習に強みを持つサービスが充実しています。

これらのパブリッククラウドサービスは、インターネットを介して提供されるため、ネットワークの故障やセキュリティ問題が発生するリスクがあります。しかし、各クラウドサービスプロバイダは様々なセキュリティ対策を講じており、それらを理解し活用することで、安心してクラウド環境を活用することが可能です。次の節では、それらのセキュリティ対策について詳しく解説します。

パブリッククラウドの普及とその背景

パブリッククラウドの普及はその背景に、いくつか影響力のある要素があります。まず前述の利点、すなわち、情報技術基盤の利用が簡便化・高速化するというメリットが一つです。これは劇的な時間とコストの効率化をもたらし、情報技術へのアクセスを従来未経験のユーザーにまで広げました。スタートアップ企業などが新しいサービスを即座に立ち上げられるようになったのも、このパブリッククラウドの普及によるものです。

また、デジタルトランスフォーメーションの推進もまた、パブリッククラウドの普及に大いに関係しています。企業が自身のビジネスモデルを見直し、ITを活用してサービスを提供する方法を変えるプロセス、このデジタルトランスフォーメーションはパブリッククラウドの恩恵を大いに享受しています。クラウドサービスを活用することで、企業は自社のビジネスを迅速にスケールアップさせることができ、変化の激しい市場に対応するのに有用となっているのです。

そして最後に挙げられるのが、セキュリティ管理の改善です。パブリッククラウドの初期段階では、データの管理とセキュリティに対する潜在的な懸念が大きな問題でした。しかし、クラウドサービスプロバイダーたちはこの問題に真摯に向き合い、強固なセキュリティ体制を構築。公的機関の要求基準を満たすための認証や認定を取得し、ユーザーに対し安心してサービスを利用できることを証明しています。以上の要素が、現代のパブリッククラウドの普及に貢献しています。

それぞれのクラウドサービスプロバイダーが提供するセキュリティ対策の具体的な内容や強みについては、次節で詳しくご紹介します。あなたのビジネスに最適なパブリッククラウドを選ぶための最重要ポイントとも言えるセキュリティ対策、ぜひご注目ください。

パブリッククラウドにおけるセキュリティの重要性

クラウドサービスを選択する際、特にパブリッククラウドを使用する場合、セキュリティは重要な検討項目となります。その理由として、公開されているクラウド環境には、個々のユーザーが直接管理することのない多数のデータと機能が含まれるからです。それらは多様な攻撃、データ漏洩、サービス遮断(DDoS攻撃)などのリスクにさらされています。

クラウドサービスプロバイダー(CSP)が適切なセキュリティ保護を提供することは、こうしたリスクを軽減する上で重要です。しかし問題は、全てのCSPが同等のセキュリティ対策を提供しているわけではないという点です。そのため、選ぶCSPによっては、適切なセキュリティ対策が実施されていない可能性があるため、注意深く選択する必要があります。

セキュリティの観点からは、次の要素が基本的な考慮点となるでしょう。

1. データの暗号化: データが不正にアクセスされるリスクを軽減するため、ストレージ中、トランスミッション中、エンドポイントの保護を含む全般的なデータの暗号化が求められます。

2. 認証とアクセス管理: 特定のユーザーやグループがアクセスできるリソースを制御する能力は、データのセキュリティを確保するために欠かせません。

3. セキュリティ更新とパッチ管理: CSPが定期的にセキュリティ更新とパッチを適用し、システムの脆弱性を定期的に監視して対応することが重要です。

4. 監査とコンプライアンス: CSPが定期的なセキュリティ監査を実施し、合規性を保つためのルールや規範に従っているかの証明が求められます。

5. レジリエンスとディザスタリカバリー: CSPが重大なインシデントやディザスターから迅速に復旧できる能力があり、そのための戦略と計画があることを確認することが重要です。

これらのセキュリティ面での要求は、パブリッククラウドを選択するすべてのユーザーに一般的に適用されます。しかし、企業や組織の独自の要件に対応するためには、それ以上のセキュリティ対策が必要となる場合もあります。

次の節では、各社パブリッククラウドサービスのセキュリティ特徴について詳しく解説します。それぞれのサービスが提供するセキュリティ対策を理解することで、あなたのビジネスに最適なパブリッククラウドの選択が可能となるでしょう。

各社パブリッククラウドサービスのセキュリティ特徴

私たちは主要な三つのパブリッククラウドプロバイダー、すなわち、Amazon Web Services (AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform (GCP)のセキュリティ特徴に焦点を当ててディスカッションします。

1. Amazon Web Services (AWS): AWSは、データ暗号化、アクセス管理、セキュリティ更新とパッチの管理、監査とコンプライアンスの準備、そしてレジリエンスとディザスタリカバリー計画といった前述したセキュリティ基準全てを含んでいます。これに加えて、AWSはAmazon Inspectorというセキュリティ評価サービスを提供しており、これによりユーザは継続的に環境の脆弱性を探知し、アプリケーションのセキュリティを向上させることができます。また、AWSでは物理的なデータセンターのセキュリティも具体的に設計されており、複数の地理的に分散した場所にデータセンターが存在します。

2. Microsoft Azure: Azureは他のCSPと同様に基本的なセキュリティ対策を提供しますが、特筆すべきはその企業向けソリューションです。なぜなら、Azureは多くの企業がすでに使用しているMicrosoftの製品群との統合が容易であるため、既存の認証とアクセス管理システムをクラウド環境にスムーズに適用することができます。加えて、Azureは情報管理と保護 (AIP)という機能を提供し、これにより企業はデータの分類、ラベル付け、保護を自動化できます。

3. Google Cloud Platform (GCP): GCPのセキュリティはGoogle自体が開発したカスタムハードウェアとソフトウェアがベースになっています。これにより、Googleのデータセンターは物理的なセキュリティから始まり、ハードウェアの設計・生産、ソフトウェアの開発、情報を保持するデータセンターまで、全てのレベルでセキュリティを組み入れることが可能になります。また、GCPはGoogleのネットワーキング技術を利用しており、エンドユーザーが読み取ったり、改ざんしたりすることなく、安全にデータを移動することができます。

各社のパブリッククラウドサービスは、基本的なセキュリティ対策以上に独自のセキュリティとプライバシー対策を提供しています。これらの詳細を理解し、自分のビジネスに最適なパブリッククラウドを選択することが重要です。次の節では、これらのサービスを比較し、各種のビジネスニーズに適したクラウドサービスの選び方について詳しく解説します。

パブリッククラウドサービス比較:セキュリティ対策と先進的な機能

パブリッククラウドサービスは、それぞれ独自のセキュリティ対策と先進的な機能を提供しています。それぞれがどのような特徴を持ち、どのビジネスニーズに最適なのかを解説します。

まず始めに、AWSのセキュリティ対策について見ていきましょう。AWSは、Amazon GuardDutyと呼ばれるマネージド型脅威検出サービスを提供しています。これはデータの異常を検知し、早期に対策を講じるためのアラートを用意します。システム全体を常時モニタリングし、不審な動きや攻撃をリアルタイムで検出することができます。AWSはこの他にも、AWS WAFやAWS ShieldといったDDoS攻撃などのウェブアプリケーションからの攻撃を早期に検知し対処する機能を保有しています。これらは、特にウェブアプリケーションを運用する企業にとって、優れたセキュリティ対策を提供します。

次に、Microsoft Azureのセキュリティ対策について見ていきましょう。Azureはセキュリティ対策の中でも、特にアイデンティティとアクセス管理に力を入れています。Azure Active Directoryは、ユーザーのアイデンティティ管理を一元化し、不正アクセスのリスクを抑える役割を果たします。また、Azure Security Centerは、ワークロードのセキュリティポスチャの透明性を提供し、リスク評価の結果に基づいてセキュリティ改善の提案を行います。この他にも、Azure Advanced Threat Protection(ADP)というサービスにより、内部の脅威に対する防御策を強化することができます。

最後に、Google Cloud Platform (GCP)のセキュリティ対策について見ていきます。GCPは、Google自身のセキュリティモデルに基づいたサービスを提供しています。データセンターの物理的なセキュリティから、ネットワーク、アプリケーション、データに至るまで、一貫したセキュリティ対策が行われています。特にGCPのVPC Service Controlsは、仮想プライベートクラウド内のデータをGoogleのマネージドサービス間で安全に移動させることが可能です。

いずれのクラウドサービスも高度なセキュリティ対策を導入していますが、それぞれが強みを持つ領域が異なります。業務の特性やセキュリティ要件により最適なサービスは異なるため、細かく比較・検討することが重要です。次節では、これらの選択時の参考点について説明します。

パブリッククラウド選択時のセキュリティに対する考慮点

パブリッククラウドを導入する際に、セキュリティは最も考慮すべき事項の一つです。この節では、選択を行う際のセキュリティに対する注意点を挙げていきます。

まず、セキュリティ対策が役立つかどうかは、自社のビジネスの特性とセキュリティ要件に大きく依存します。例えば、個人情報を扱う企業や、金融、医療などの業種では、データの保安性が最も要求されるため、クラウドサービスに高度なデータ保護機能があるかを確認する必要があります。また、大量のデータを扱ってリスク予測や統計分析を行う企業では、対策の柔軟性とスケーラビリティが重要となるでしょう。

次に、セキュリティの管理レベルです。全てのクラウドサービスはセキュリティ機能を提供していますが、その対策がどの程度自動化されているか、あるいは管理が容易かどうかはサービスによって異なります。たとえば、AWSのGuardDutyやAzureのSecurity Centerは、より自動化されたセキュリティ対策を持っていますが、一方でGCPのVPC Service Controlsなどは、カスタマイズ可能なセキュリティ対策を提供しています。自社のITリソースやセキュリティ運用の能力から、どの程度の管理が求められるかを検討することが重要です。

さらに、コンプライアンス要件も考慮すべき重要な要素です。特に、GDPRやHIPAAなど、特定の業界や領域で要求されるコンプライアンス要件を満たすためには、それらの要件をサポートするクラウドサービスを選択することが求められます。

また、選択するクラウドサービスのセキュリティ対策が透明であることも非常に重要です。具体的には、セキュリティの仕組みや方針、実施されている対策等が明確に公開されているか、またはサービスプロバイダが定期的にセキュリティの評価報告を公表しているかなどを確認することが必要です。

最後に、トータルコストも考慮しなければなりません。セキュリティ対策は一部のパブリッククラウドサービスでは追加コストが発生します。ビジネスの規模や資金的な状況を考慮し、最も効果的なセキュリティ対策を提供できるクラウドサービスを選択することが求められます。

以上のように、クラウドを選択する際には、ビジネス特性、セキュリティの管理レベル、コンプライアンス要件、透明性、コストなど、多角的な視点から検討することが重要です。セキュリティは非常に重要な要素であり、これらの要素を考慮に入れて適切なパブリッククラウドを選択することで、安心してビジネスを展開することが可能です。

最終的な選択:あなたのビジネスに最適なパブリッククラウドは?

最終的な選択を下す際には、一つひとつの要素を総合的に評価し、それぞれのビジネスに最適なパブリッククラウドを選び出す必要があります。それぞれのパブリッククラウドは、セキュリティ対策の質やコンプライアンス対応力、コスト、スケーラビリティなど、さまざまな面で異なる特徴を持っています。

たとえば、Amazon Web Services (AWS)は、幅広い業種の企業に対して安全性と利便性の高いクラウド環境を提供します。さまざまな業種の規制に対応し、強力なセキュリティ対策を持ちながらも、低コストであることが特徴です。しかし、設定が複雑であり、初心者には難易度が高いと感じるかもしれません。

Microsoft Azureは、特にMicrosoft製品を使用している企業にとっては統合性と互換性が高く、導入が容易であり、そのセキュリティ対策は業界でもトップクラスです。一方で、コストが高いことと、障害時の復旧に時間がかかることが欠点として挙げられます。

Google Cloud Platform (GCP)は、分析や機械学習、大規模なデータ処理を必要とする企業には最適なソリューションを提供します。また、GCPは透明性が高く、多くの開放的な情報を提供します。ただし、初期設定や移行の難易度が高い点や、全体的なサービスの成熟度の低さは考慮なければなりません。

これらのプロバイダーはその他にも多くの特性を持つため、一概にどれが最善かを決めることは不可能です。自社のビジネス特性や要件に密着したプロバイダー選択が必要です。具体的には、必要なセキュリティ対策の種類、コンプライアンス要件、予算、スキルセット、リソースのスケーラビリティや移行の容易さなどを評価し、最終的な選択を行ってください。その上で、パートナーシップを検討するか、専門的なコンサルタントを活用することで最良の選択をサポートすることも可能です。お忘れなく、セキュリティは堅固なビジネスを確立するための基盤であり、その選択は慎重に行うべきです。

まとめと補足資料:迷わずパブリッククラウドを選ぶために

この記事のまとめとして、パブリッククラウドサービスの選択におけるセキュリティの考慮点や各サービスの特徴を再度強調します。最も大切なことは、あなたのビジネスが直面する特定の課題やニーズを最もよく満たすサービスを選択することです。

セキュリティは非常に重要な要素であり、パブリッククラウドサービス選択の決定的な要因となるでしょう。貴重な企業データを保護し、業務の進行を確実にするために、適切なセキュリティ対策を持つクラウドサービスを選ぶことがサイバーセキュリティにおける最大の優先事項となります。

AWS、Azure、GCPそれぞれが特有のセキュリティ機能を持っていますが、どのプロバイダが最適かはユーザ企業のビジネスモデルや要件によります。最適な選択を確認するために足りない情報を補完するため、ここでは具体的なセキュリティ資料と判断のためのガイドラインを提供します。

1.【AWS Security】https://aws.amazon.com/security/
AWSのセキュリティ情報とツールに関する最新情報を提供します。

2.【Azure Security Center】https://azure.microsoft.com/services/security-center/
Azureでの脅威対策とセキュリティのベストプラクティスを示しています。

3.【Google Cloud Security】https://cloud.google.com/security/
Googleによる公式なセキュリティガイドと資料を提供します。

上記のリンクによって、それぞれのプロバイダのセキュリティに深く関連する資料を手に入れることができます。これらの情報を使って自社のビジネス要件と対照させ、ビジネスに最適なパブリッククラウドサービスを選択しましょう。

また、セキュリティ対策はプロバイダだけに任せるものではありません。適切なセキュリティポリシーを策定し、定期的なセキュリティッチェックを行い、教育やトレーニングで組織内のセキュリティ認識を高めるなど、ユーザ企業自身が積極的に参画することも大切です。

パブリッククラウドの選択は一夜にして決められる問題ではありません。十分な調査と検討を行い、可能であれば複数のプロバイダからデモやトライアルを試して、最終の選択を判断材料にしましょう。また専門的な知識が不足している場合は、クラウドコンサルタントに相談するなど外部の支援を求めることも選択肢の一つです。

以上の情報が、あなたのパブリッククラウド選択の道しるべとなることを願っています。あなたのビジネスが迅速かつ安全に成長を遂げることをお祈りします。

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執筆者のプロフィール画像J
【学歴】工学修士 【職歴】大手企業エンジニア 【自己紹介】 はじめまして、Jと申します。工学修士の学位を取得後、大手企業でエンジニアとして数年間活躍してきました。その経験を活かし、現在は「Tasuke Hub」のライターとして、皆様の困りごとを解決する手助けをしております。 専門は工学ですが、その知識と技術を用いて、日々の生活の様々な問題に取り組んでいます。特に、技術的な問題について深い知識を持っており、抽象的な概念から具体的な問題解決まで幅広く対応できます。 あなたの困りごとや疑問があれば、どんなことでもお気軽にお尋ねください。あなたの問題解決のために、私の全知識と経験を活用します。あなたの日々が少しでも快適になるように、全力でサポートいたします。 よろしくお願い申し上げます。