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【2025年最新】CSS-in-JSの完全ガイド：パフォーマンスと開発効率を両立する最適な実装

時計のアイコン4 May, 2025
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CSS-in-JSの基本と最新トレンド

CSS-in-JSとは何か？従来のCSSとの違い

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CSS-in-JSは、JavaScriptを使ってCSSスタイルを定義するアプローチです。従来のスタイルシート（.cssファイル）を別途管理する代わりに、コンポーネントと同じファイル内でスタイルを定義できます。これにより、コンポーネントベースの開発において「スタイルもコンポーネントの一部」という考え方を実現しています。

目次

TH

Tasuke Hub管理人

東証プライム市場上場企業エンジニア

情報系修士卒業後、大手IT企業にてフルスタックエンジニアとして活躍。 Webアプリケーション開発からクラウドインフラ構築まで幅広い技術に精通し、 複数のプロジェクトでリードエンジニアを担当。 技術ブログやオープンソースへの貢献を通じて、日本のIT技術コミュニティに積極的に関わっている。

🎓情報系修士🏢東証プライム上場企業💻フルスタックエンジニア📝技術ブログ執筆者

従来のCSSとCSS-in-JSの主な違いは以下の通りです：

  1. スコープ: 従来のCSSはグローバルスコープで適用されるため、クラス名の衝突が起きやすい問題がありました。一方、CSS-in-JSではコンポーネントにスコープが限定されたスタイルを定義できるため、命名の衝突を防ぎやすくなります。

  2. 動的なスタイリング: CSS-in-JSではJavaScriptの変数や関数を活用してスタイルを動的に生成できます。プロップスの値に基づいて色やサイズを変更するなど、柔軟なスタイリングが可能です。

  3. コンポーネントとの統合: スタイルとロジックが同じファイルにあるため、コンポーネントの関心事がひとつの場所にまとまり、メンテナンス性が向上します。

// CSS-in-JSの基本的な例（styled-components使用）
import styled from 'styled-components';

// スタイル付きのボタンコンポーネント
const Button = styled.button`
  background-color: ${props => props.primary ? '#0070f3' : 'white'};
  color: ${props => props.primary ? 'white' : '#0070f3'};
  font-size: 16px;
  padding: 10px 20px;
  border: 2px solid #0070f3;
  border-radius: 4px;
  cursor: pointer;
  transition: all 0.3s ease;
  
  &:hover {
    opacity: 0.8;
    transform: translateY(-2px);
  }
`;

// 使用例
function App() {
  return (
    <div>
      <Button>通常ボタン</Button>
      <Button primary>プライマリーボタン</Button>
    </div>
  );
}

このアプローチには「スタイルとロジックの密結合」という批判もありますが、コンポーネント志向のUIライブラリ（ReactやVueなど）との親和性が高く、大規模アプリケーションでの開発効率を高めるメリットがあります。

2025年のCSS-in-JSエコシステム概観

2025年現在、CSS-in-JSのエコシステムは大きく進化し、パフォーマンスと開発者体験の両方を重視したソリューションが主流となっています。

現在の主要なCSS-in-JSライブラリは次のとおりです：

  1. Styled Components: 直感的なAPIと優れた開発者体験で依然として人気があります。最新バージョンではゼロランタイムモードも導入され、パフォーマンス面での改善が図られています。

  2. Emotion: 柔軟性と高いパフォーマンスを両立したライブラリで、React以外のフレームワークとも統合しやすく、様々なユースケースに対応できます。

  3. Vanilla Extract: ビルド時にCSSを生成するゼロランタイムアプローチを採用し、型安全なCSSを提供します。

  4. Panda CSS: 最新のゼロランタイムライブラリの一つで、TypeScriptとの連携が強力で、開発時の型安全性とランタイムパフォーマンスを両立しています。

  5. Linaria: CSS-in-JSの記法を保ちながらも、実行時のオーバーヘッドを排除したゼロランタイムアプローチを採用しています。

  6. Stitches: パフォーマンスを重視し、バリアント機能や型安全性を備えたCSS-in-JSソリューションです。

特に注目すべき2025年のトレンドとして、次の点が挙げられます：

  • サーバーコンポーネント対応: Next.jsやRemixなどのフレームワークでサーバーコンポーネントが主流化したことに伴い、サーバーサイドでも問題なく動作するCSS-in-JSソリューションが求められています。

  • 静的抽出の標準化: ビルド時にCSSを抽出し、分離されたCSSファイルとして提供するアプローチが標準的になっています。

  • 型安全性の向上: TypeScriptとの統合が進み、スタイルプロパティやテーマの型チェックが強化されています。

Zero-Runtime vs Runtimeアプローチの比較

CSS-in-JSライブラリは大きく分けて「ランタイム」と「ゼロランタイム（ビルドタイム）」の2つのアプローチに分類できます。2025年においては、この違いを理解することが最適なライブラリ選定の鍵となっています。

ランタイムアプローチ（例：Styled Components、Emotion）：

// ランタイムCSS-in-JSの例
import styled from 'styled-components';

const Box = styled.div`
  background-color: ${props => props.theme.colors.background};
  padding: 20px;
  border-radius: 8px;
`;

function Component({ theme }) {
  return <Box theme={theme}>コンテンツ</Box>;
}

特徴：

  • 実行時にJavaScriptがCSSを生成・挿入
  • 動的なスタイリングに強い
  • JavaScriptバンドルサイズとランタイムオーバーヘッドが増加
  • 初期レンダリングが遅延する可能性がある

ゼロランタイムアプローチ（例：Vanilla Extract、Linaria、Panda CSS）：

// ゼロランタイムCSS-in-JSの例（Vanilla Extract）
import { style } from '@vanilla-extract/css';
import { vars } from './theme.css';

// ビルド時に静的なCSSクラスを生成
const box = style({
  backgroundColor: vars.colors.background,
  padding: '20px',
  borderRadius: '8px'
});

function Component() {
  return <div className={box}>コンテンツ</div>;
}

特徴：

  • ビルド時にCSSを抽出し、静的なCSSファイルを生成
  • JavaScriptランタイムへの影響が最小限
  • 高速な初期レンダリング
  • 静的な解析が可能でバンドルサイズが削減
  • 一部の動的スタイリングが制限される場合がある

比較と選択基準：

基準 ランタイム ゼロランタイム
パフォーマンス △ ◎
動的スタイリング ◎ △〜○
サーバーコンポーネント対応 △ ◎
開発者体験 ○ ○
バンドルサイズ △ ◎

2025年の現状では、パフォーマンスとユーザー体験を最優先する大規模プロジェクトでは、ゼロランタイムアプローチが選ばれる傾向にあります。特にモバイルユーザーが多いサイトでは、初期読み込み時間とインタラクションまでの時間を最小化できるゼロランタイムソリューションが好まれています。

一方で、高度に動的なUIを構築するプロジェクトや、開発速度を優先する小中規模のプロジェクトでは、ランタイムアプローチの柔軟性が依然として価値を持ちます。

「石橋を叩いて渡る」という言葉がありますが、CSS-in-JSの選択においても同様です。プロジェクトの特性を見極め、適切なアプローチを選ぶことが成功への鍵となります。

主要なCSS-in-JSライブラリの詳細解説

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最新のStyled-componentsとEmotionの使い方

Styled-componentsの最新機能と実践テクニック

Styled-componentsは長らくCSS-in-JSの代表的存在でしたが、2025年ではさらに進化し、モダンなフロントエンド開発に対応する機能が追加されています。

インストールと基本設定:

# インストール
npm install styled-components

# TypeScriptを使用する場合は型定義も
npm install @types/styled-components

最新のStyled-componentsの基本的な使い方:

// 基本的なスタイル定義
import styled from 'styled-components';

// 基本的なスタイル定義
const Container = styled.div`
  max-width: 1200px;
  margin: 0 auto;
  padding: 0 20px;
`;

// props に基づいた条件付きスタイリング
const Button = styled.button`
  background: ${props => props.primary ? '#0070f3' : 'white'};
  color: ${props => props.primary ? 'white' : '#0070f3'};
  border: 2px solid #0070f3;
  border-radius: 4px;
  padding: 8px 16px;
  font-size: 16px;
  cursor: pointer;
`;

// コンポーネントの拡張
const LargeButton = styled(Button)`
  padding: 12px 24px;
  font-size: 18px;
`;

function App() {
  return (
    <Container>
      <Button>通常ボタン</Button>
      <Button primary>プライマリボタン</Button>
      <LargeButton>大きいボタン</LargeButton>
    </Container>
  );
}

2025年の最新機能:

  1. サーバーコンポーネント対応モード:

Next.jsなどのサーバーコンポーネントで使用するための最適化モードが追加されました。

// サーバーコンポーネント対応モード
import { createStyledComponentsServer } from 'styled-components/server';

// サーバーでの設定
export const styled = createStyledComponentsServer({
  mode: 'static-extraction',
  runtimeInjection: false
});

// 使用例（サーバーコンポーネント内）
const Title = styled.h1`
  color: #333;
  font-size: 24px;
`;

export default function ServerComponent() {
  return <Title>サーバーコンポーネントでのスタイル</Title>;
}
  1. パフォーマンス最適化:

スタイルのメモ化とキャッシングが強化され、再レンダリング時のパフォーマンスが向上しています。

// コンポーネントのメモ化と組み合わせた最適化
import React from 'react';
import styled from 'styled-components';

const StyledCard = styled.div`
  border: 1px solid #eaeaea;
  border-radius: 8px;
  padding: 16px;
  transition: box-shadow 0.3s ease;
  
  &:hover {
    box-shadow: 0 4px 12px rgba(0, 0, 0, 0.1);
  }
`;

// メモ化されたコンポーネント
const Card = React.memo(({ title, children }) => (
  <StyledCard>
    <h3>{title}</h3>
    {children}
  </StyledCard>
));

export default Card;

Emotionの特徴と高度な使用方法

Emotionは柔軟性と高いパフォーマンスで人気のあるCSS-in-JSライブラリで、2025年にはさらに機能が強化されています。

インストールと基本設定:

# Reactと併用する場合
npm install @emotion/react @emotion/styled

# TypeScriptサポート（内蔵されているため別途インストール不要）

基本的な使い方:

// @emotion/styled を使用する場合（styled-components風の構文）
import styled from '@emotion/styled';

const Button = styled.button`
  background-color: ${props => props.primary ? '#0070f3' : 'white'};
  color: ${props => props.primary ? 'white' : '#0070f3'};
  padding: 10px 20px;
  border: 2px solid #0070f3;
  border-radius: 4px;
`;

// @emotion/react の css プロパティを使用する場合
/** @jsxImportSource @emotion/react */
import { css } from '@emotion/react';

function Component() {
  const buttonStyle = css`
    background-color: #0070f3;
    color: white;
    padding: 10px 20px;
    border: none;
    border-radius: 4px;
    cursor: pointer;
  `;
  
  return <button css={buttonStyle}>クリック</button>;
}

Emotionの高度な機能:

  1. テーマの使用:
// ThemeProviderによるテーマ設定
import { ThemeProvider } from '@emotion/react';
import styled from '@emotion/styled';

// テーマの定義
const theme = {
  colors: {
    primary: '#0070f3',
    secondary: '#ff4081',
    text: '#333',
    background: '#fff'
  },
  fontSizes: {
    small: '14px',
    medium: '16px',
    large: '18px'
  }
};

// テーマを使用したコンポーネント
const ThemedButton = styled.button`
  background-color: ${props => props.theme.colors.primary};
  color: white;
  font-size: ${props => props.theme.fontSizes.medium};
  padding: 10px 20px;
  border: none;
  border-radius: 4px;
`;

function App() {
  return (
    <ThemeProvider theme={theme}>
      <div>
        <h1>Emotionのテーマ</h1>
        <ThemedButton>テーマボタン</ThemedButton>
      </div>
    </ThemeProvider>
  );
}
  1. コンポーズパターン:
import { css } from '@emotion/react';
import styled from '@emotion/styled';

// 再利用可能なスタイル
const baseButton = css`
  padding: 10px 20px;
  border-radius: 4px;
  font-weight: 600;
  cursor: pointer;
  transition: all 0.2s ease;
`;

const primaryStyle = css`
  ${baseButton}
  background-color: #0070f3;
  color: white;
  border: none;
  
  &:hover {
    background-color: #005bb5;
  }
`;

const secondaryStyle = css`
  ${baseButton}
  background-color: white;
  color: #0070f3;
  border: 2px solid #0070f3;
  
  &:hover {
    background-color: #f0f8ff;
  }
`;

// コンポーネントでの使用
function Buttons() {
  return (
    <div>
      <button css={primaryStyle}>プライマリ</button>
      <button css={secondaryStyle}>セカンダリ</button>
    </div>
  );
}

Styled-componentsとEmotionの違いと選択基準

両ライブラリはとても似ていますが、いくつかの違いがあります：

機能 Styled-components Emotion
API styled.* のみ styled.* と css プロパティの両方
パフォーマンス 良好（最近改善） より高速（内部最適化が強力）
バンドルサイズ やや大きい より小さい
フレームワーク対応 主にReact React, Vue, Vanillaなど多様
サーバーサイド対応 対応あり より統合が簡単

自分の場合に合ったライブラリを選ぶためのポイント：

  • React専用アプリならどちらでも問題ありません
  • 他のフレームワークとの互換性が必要ならEmotion
  • パフォーマンスを最重視するならEmotion
  • すでにStyled-componentsの知見があるなら移行する必要はありません

「馬の合う鞍」という言葉があるように、どちらも優れたライブラリですので、自分のプロジェクトやチームに合った方を選ぶことが大切です。

Tailwind CSSとの統合アプローチ

Tailwind CSSはユーティリティファーストのCSSフレームワークとして人気を集めていますが、CSS-in-JSライブラリと組み合わせることで、両方のメリットを享受することができます。2025年では、この統合アプローチがさらに洗練され、標準的な実装パターンが確立されています。

Twin.macroによる統合

Twin.macroは、Tailwind CSSをCSS-in-JSライブラリと組み合わせるための最も人気のあるソリューションの一つです。

インストールと設定:

# 必要なパッケージのインストール
npm install twin.macro tailwindcss @emotion/react @emotion/styled

# または styled-components を使用する場合
npm install twin.macro tailwindcss styled-components

基本的な使い方 (Emotionとの組み合わせ):

// Twin.macroとEmotionを使用した例
import tw, { styled } from 'twin.macro';

// Tailwindクラスを直接使用
const Button = styled.button`
  ${tw`bg-blue-500 hover:bg-blue-700 text-white font-bold py-2 px-4 rounded`}
`;

// プロップスに基づいた条件付きスタイリング
const ConditionalButton = styled.button(({ isRed }) => [
  tw`font-bold py-2 px-4 rounded`,
  isRed ? tw`bg-red-500 hover:bg-red-700 text-white` : tw`bg-blue-500 hover:bg-blue-700 text-white`
]);

function Component() {
  return (
    <div css={tw`flex flex-col items-center gap-4 p-6`}>
      <Button>Tailwindスタイル適用ボタン</Button>
      <ConditionalButton isRed>赤いボタン</ConditionalButton>
      <ConditionalButton>青いボタン</ConditionalButton>
    </div>
  );
}

テーマとカスタマイズ

Tailwind CSSとCSS-in-JSのテーマシステムを連携させることで、一貫したデザインシステムを構築できます。

// tailwind.config.jsのテーマとCSS-in-JSのテーマを連携
// tailwind.config.js
module.exports = {
  theme: {
    colors: {
      primary: '#0070f3',
      secondary: '#ff4081',
      // 他の色...
    },
    // 他のテーマ設定...
  },
  // その他の設定...
};

// React コンポーネント
import React from 'react';
import { ThemeProvider } from '@emotion/react';
import tw, { styled } from 'twin.macro';
import resolveConfig from 'tailwindcss/resolveConfig';
import tailwindConfig from '../tailwind.config.js';

// Tailwindの設定を読み込む
const fullConfig = resolveConfig(tailwindConfig);

// Emotionのテーマとして使用
function App() {
  return (
    <ThemeProvider theme={fullConfig.theme}>
      <MainContent />
    </ThemeProvider>
  );
}

// テーマを使用したコンポーネント
const Card = styled.div`
  ${tw`p-4 rounded shadow`}
  background-color: ${props => props.theme.colors.primary};
  color: white;
`;

function MainContent() {
  return (
    <div css={tw`container mx-auto p-4`}>
      <Card>
        <h2 css={tw`text-xl font-bold`}>テーマカラーを使用したカード</h2>
        <p css={tw`mt-2`}>Tailwindとエモーションのテーマが連携しています</p>
      </Card>
    </div>
  );
}

CSS-in-JSとTailwindを組み合わせる利点

  1. ユーティリティクラスの利便性：Tailwindの簡潔なクラス名で迅速に開発
  2. 動的スタイルの柔軟性：CSS-in-JSでプロップスに基づいた動的スタイリング
  3. 型安全性：TypeScriptと統合することでスタイルの型チェック
  4. コードの整理：コンポーネントとスタイルを一箇所にまとめられる

ベストプラクティス

Tailwind CSSとCSS-in-JSを組み合わせる際のベストプラクティスは次のとおりです：

  1. 過度の混在を避ける：基本的なレイアウトはTailwindで、複雑なスタイルやバリエーションはCSS-in-JSで実装するなど、役割分担を明確にする

  2. 一貫したパターンを守る：チーム内でどのようなスタイルをTailwindで、どのようなスタイルをCSS-in-JSで書くかのガイドラインを作成する

  3. パフォーマンスに注意：Twin.macroなどのツールは優れていますが、コンパイル時間やバンドルサイズに影響する可能性があるため、大規模プロジェクトでは注意が必要

  4. 静的抽出を活用：可能な限り、ビルド時にCSSを抽出するアプローチを選択し、ランタイムオーバーヘッドを削減する

「いいとこどりは難しい」と言われますが、適切に設計すれば、TailwindとCSS-in-JSの両方の良さを取り入れた効率的な開発を実現できます。選択したアプローチをチーム内で一貫して使用することが成功の鍵です。

サーバーコンポーネント時代のCSS-in-JS戦略

サーバーコンポーネントの特性とCSS-in-JSの課題

Next.jsやRemixなどのフレームワークでは、サーバーコンポーネント（Server Components）が標準的な機能となり、フロントエンド開発のパラダイムに大きな変化をもたらしています。サーバーコンポーネントは、サーバー上でレンダリングされ、その結果のみがクライアントに送信されるコンポーネントです。これにより初期ロード時間の短縮やJavaScriptバンドルサイズの削減などのメリットがあります。

しかし、従来のCSS-in-JSライブラリの多くはクライアントサイドでの実行を前提としており、サーバーコンポーネントとの互換性に問題がありました。主な課題は次のとおりです：

  1. ランタイムアプローチの制限: 従来のStyled ComponentsやEmotionなどは、ブラウザ上でスタイルを動的に生成するため、サーバーコンポーネントでは動作しません。

  2. useStateやuseEffectの利用不可: サーバーコンポーネントではReactのStateフックが使用できないため、これらに依存するCSS-in-JSの実装が問題を引き起こします。

  3. クライアントバンドルサイズ: JavaScriptバンドルサイズを削減するというサーバーコンポーネントの利点が、重いCSS-in-JSライブラリによって相殺される可能性があります。

// 従来のCSS-in-JS（サーバーコンポーネントでは動作しない）
'use client'; // クライアントコンポーネントとしてマーク

import styled from 'styled-components';

const StyledButton = styled.button`
  background: blue;
  color: white;
`;

export default function Button() {
  return <StyledButton>クリック</StyledButton>;
}

近代的なサーバーコンポーネント対応ソリューション

2025年現在、サーバーコンポーネントに対応したCSS-in-JSソリューションが複数登場し、問題を解決するさまざまなアプローチが提供されています。

ゼロランタイムアプローチ

最も効果的なアプローチは、ビルド時にCSSを抽出するゼロランタイムライブラリを採用することです。

// Vanilla Extract によるサーバーコンポーネント対応の例
// button.css.ts
import { style } from '@vanilla-extract/css';

export const button = style({
  background: 'blue',
  color: 'white',
  padding: '10px 20px',
  borderRadius: '4px',
  border: 'none'
});

// Button.tsx (サーバーコンポーネント)
import { button } from './button.css';

export default function Button() {
  return <button className={button}>クリック</button>;
}

サーバーコンポーネントに適した主要なゼロランタイムライブラリ：

  1. Vanilla Extract: 型安全で強力なCSS抽出機能を持ちます
  2. Panda CSS: Chakra UIの開発チームによる高性能なCSS-in-JSソリューション
  3. Linaria: CSS-in-JSの直感的な記法を保ちながらゼロランタイム

ハイブリッドアプローチ

一部のプロジェクトでは、サーバーコンポーネントとクライアントコンポーネントを使い分け、それぞれに適したスタイリングソリューションを組み合わせることが効果的です。

// ハイブリッドアプローチの例

// グローバルスタイルや共通コンポーネント用（静的なCSS）
// global.css
:root {
  --color-primary: #0070f3;
  --color-text: #333;
}

body {
  font-family: 'System UI', sans-serif;
  color: var(--color-text);
}

// 動的な要素が必要なクライアントコンポーネント用
// AnimatedButton.tsx
'use client';

import styled from 'styled-components';

const StyledButton = styled.button`
  background: var(--color-primary);
  color: white;
  transition: transform 0.2s;
  
  &:hover {
    transform: translateY(-2px);
  }
`;

export default function AnimatedButton({ children }) {
  return <StyledButton>{children}</StyledButton>;
}

CSS Modulesとの併用戦略

多くのチームが採用している実用的な戦略として、サーバーコンポーネントにはCSS Modulesを使用し、動的なスタイリングが必要なクライアントコンポーネントには従来のCSS-in-JSを使用する方法があります。Next.jsなどのフレームワークではCSS Modulesが組み込みでサポートされているため、この方法は特に効果的です。

// サーバーコンポーネントでCSS Modulesを使用
// Button.module.css
.button {
  background-color: var(--color-primary);
  color: white;
  padding: 10px 20px;
  border-radius: 4px;
  border: none;
}

.large {
  font-size: 18px;
  padding: 12px 24px;
}

// Button.tsx (サーバーコンポーネント)
import styles from './Button.module.css';

export default function Button({ size = 'normal', children }) {
  const className = size === 'large' 
    ? `${styles.button} ${styles.large}` 
    : styles.button;
    
  return <button className={className}>{children}</button>;
}

CSS VariablesとCSS-in-JSの連携

CSSカスタムプロパティ（CSS Variables）を活用することで、サーバーコンポーネントでも柔軟なテーマ機能を実現できます。

// theme.css
:root {
  --color-primary: #0070f3;
  --color-secondary: #ff4081;
  --font-size-base: 16px;
  --spacing-unit: 8px;
  
  /* ダークモード */
  --color-background: white;
  --color-text: #333;
}

@media (prefers-color-scheme: dark) {
  :root {
    --color-background: #121212;
    --color-text: #f5f5f5;
  }
}

// ServerCard.tsx (サーバーコンポーネント)
import styles from './Card.module.css';

export default function ServerCard({ title, children }) {
  return (
    <div className={styles.card}>
      <h3 className={styles.title}>{title}</h3>
      <div>{children}</div>
    </div>
  );
}

// Card.module.css
.card {
  background-color: var(--color-background);
  color: var(--color-text);
  border-radius: calc(var(--spacing-unit) * 1);
  padding: calc(var(--spacing-unit) * 2);
  margin-bottom: calc(var(--spacing-unit) * 2);
}

.title {
  font-size: calc(var(--font-size-base) * 1.25);
  margin-top: 0;
}

パフォーマンス最適化のベストプラクティス

サーバーコンポーネント環境でCSS-in-JSを最適化するためのベストプラクティスは次のとおりです：

  1. 静的な要素はビルド時に抽出: 可能な限り多くのスタイルをビルド時に抽出し、静的なCSSとして提供します。

  2. 動的スタイリングの最小化: 本当に必要な箇所だけに動的スタイリングを制限し、それ以外は静的CSSやCSS Variablesを使用します。

  3. コンポーネントの分割: 動的なスタイリングが必要なコンポーネントだけをクライアントコンポーネントとしてマークし、残りはサーバーコンポーネントにします。

  4. キャッシング戦略の活用: サーバーコンポーネントのレンダリング結果をキャッシュすることで、パフォーマンスをさらに向上させます。

以下に最適化されたコンポーネント構造の例を示します：

// スタイルの定義（ビルド時に抽出される）
// styles.css.ts
import { style, createVar } from '@vanilla-extract/css';

export const colorVar = createVar();
export const sizeVar = createVar();

export const button = style({
  backgroundColor: colorVar,
  color: 'white',
  padding: sizeVar,
  borderRadius: '4px',
  border: 'none',
  cursor: 'pointer'
});

// サーバーコンポーネント
// StaticButton.tsx
import { button, colorVar, sizeVar } from './styles.css';

// 静的なプロップスに基づいてCSS変数を設定
export default function StaticButton({ color = 'blue', size = 'medium', children }) {
  const sizeValue = size === 'large' ? '12px 24px' : '8px 16px';
  
  return (
    <button 
      className={button} 
      style={{ 
        [colorVar]: color, 
        [sizeVar]: sizeValue 
      }}
    >
      {children}
    </button>
  );
}

// クライアントコンポーネント（動的な振る舞いが必要な場合のみ）
// AnimatedButton.tsx
'use client';

import { useState } from 'react';
import { button, colorVar, sizeVar } from './styles.css';

export default function AnimatedButton({ color = 'blue', children }) {
  const [isHovered, setIsHovered] = useState(false);
  
  return (
    <button 
      className={button}
      style={{ 
        [colorVar]: isHovered ? 'darkblue' : color, 
        [sizeVar]: '8px 16px',
        transform: isHovered ? 'translateY(-2px)' : 'none',
        transition: 'all 0.2s'
      }}
      onMouseEnter={() => setIsHovered(true)}
      onMouseLeave={() => setIsHovered(false)}
    >
      {children}
    </button>
  );
}

「シンプルさは究極の洗練である」という言葉があるように、サーバーコンポーネント時代のCSS-in-JSでは、可能な限り単純なアプローチを取りながら、必要に応じて高度な機能を組み合わせることが重要です。2025年の現在、フロントエンド開発は複雑さと単純さのバランスを慎重に取りながら進化し続けています。

まとめ：CSS-in-JSの現在と未来

本記事では、2025年におけるCSS-in-JSの最新状況を詳しく解説しました。現代のフロントエンド開発において、CSS-in-JSは単なる流行ではなく、コンポーネントベースのUI開発アプローチに欠かせないものとなっています。

ポイントをまとめると：

  1. 多様なアプローチ: ランタイムとゼロランタイムの両方のアプローチには、それぞれの用途と利点があります。プロジェクトの要件に応じて適切なものを選択することが大切です。

  2. パフォーマンス最適化: サーバーコンポーネントの普及に伴い、ビルド時にCSSを抽出するアプローチがより重要になっています。バンドルサイズとランタイムオーバーヘッドの削減は、ユーザー体験の向上に直結します。

  3. 柔軟な統合: TailwindのようなユーティリティCSSとの統合や、CSS Modulesとの併用など、複数のアプローチを組み合わせることで、より柔軟で効率的な開発環境を構築できます。

  4. 型安全性の重要性: TypeScriptとの統合により、CSS-in-JSはより堅牢で保守性の高いコードベースの構築を支援します。

フロントエンド開発の景色は常に変化していますが、CSS-in-JSの基本的な価値提案—スタイルをコンポーネントの一部として管理し、動的なスタイリングを実現する—は今後も変わらないでしょう。技術的な実装は進化し続けますが、これらの根本的な利点は、モダンUIの開発において引き続き重要な役割を果たすことでしょう。

あなたのプロジェクトに最適なCSS-in-JSアプローチを見つけ、効率的で保守性の高いフロントエンド開発を実現してください。

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