Tasuke Hubのロゴ

ITを中心に困っている人を助けるメディア

分かりやすく解決策を提供することで、あなたの困ったをサポート。 全ての人々がスムーズに生活できる世界を目指します。

Git rebaseで発生するコンフリクト解決法!1分で実践できる具体的な手順

記事のサムネイル
TH

Tasuke Hub管理人

東証プライム市場上場企業エンジニア

情報系修士卒業後、大手IT企業にてフルスタックエンジニアとして活躍。 Webアプリケーション開発からクラウドインフラ構築まで幅広い技術に精通し、 複数のプロジェクトでリードエンジニアを担当。 技術ブログやオープンソースへの貢献を通じて、日本のIT技術コミュニティに積極的に関わっている。

🎓情報系修士🏢東証プライム上場企業💻フルスタックエンジニア📝技術ブログ執筆者

Git rebaseで発生するコンフリクト解決法!1分で実践できる具体的な手順

コンフリクトの原因を理解する

Git rebaseを使っていて突然「CONFLICT」というメッセージが表示されたことはありませんか?これはリベース中にコンフリクト(競合)が発生した状態です。

コンフリクトが発生する主な原因は、同じファイルの同じ行に対して異なる変更が行われた場合です。具体的には以下のようなケースで発生します:

# ブランチの状態
main: A <- B <- C
feature: A <- B <- D <- E

ここで feature ブランチを main ブランチにリベースすると:

# リベースしようとしている状態
git checkout feature
git rebase main

もし CD または E で同じファイルの同じ部分を変更していると、Git は自動的にマージできずコンフリクトが発生します。

よくある具体的なシナリオを見てみましょう:

# main ブランチの index.py
def calculate_total(items):
    total = 0
    for item in items:
        total += item.price
    return total
# feature ブランチの index.py (同じ関数を異なる方法で修正)
def calculate_total(items):
    return sum(item.price for item in items)

このような場合、同じ関数に対して異なる変更が行われているため、リベース時にコンフリクトが発生します。

rebaseコンフリクト解決の基本的な手順

Git rebaseでコンフリクトが発生した場合の解決手順を具体的に説明します。

1. コンフリクト状態の確認

リベース中にコンフリクトが発生すると、次のようなメッセージが表示されます:

CONFLICT (content): Merge conflict in index.py
Auto-merging index.py
error: could not apply e123456... feature commit message
Resolve all conflicts manually, mark them as resolved with
"git add/rm <conflicted_files>", then run "git rebase --continue".
You can instead skip this commit: run "git rebase --skip".
To abort and get back to the state before "git rebase", run "git rebase --abort".

まず、どのファイルでコンフリクトが発生しているかを確認します:

git status

出力例:

rebase in progress; onto 1a2b3c4
You are currently rebasing branch 'feature' on '1a2b3c4'.
  (fix conflicts and then run "git rebase --continue")
  (use "git rebase --skip" to skip this patch)
  (use "git rebase --abort" to abort the rebase operation)

Unmerged paths:
  (use "git add <file>..." to mark resolution)
        both modified:   index.py

2. コンフリクトファイルの編集

コンフリクトが発生したファイルを開くと、次のような内容が表示されます:

<<<<<<< HEAD
def calculate_total(items):
    total = 0
    for item in items:
        total += item.price
    return total
=======
def calculate_total(items):
    return sum(item.price for item in items)
>>>>>>> e123456... feature commit message

このマーカーの意味:

  • <<<<<<< HEAD から ======= までは現在のHEAD(ここではmainブランチのコード)
  • ======= から >>>>>>> e123456... まではあなたのブランチの変更内容

コンフリクトを解決するには、このマーカーを含む部分を編集して最終的にどうしたいかを決めます:

# 解決後の例
def calculate_total(items):
    # 両方の実装のいいところを取り入れた解決策
    return sum(item.price for item in items)

3. 解決済みとしてマーク

コンフリクトを解決したら、ファイルを保存してGitに解決済みであることを伝えます:

git add index.py

4. リベースを続行

ファイルを解決済みとしてマークしたら、リベースを続行します:

git rebase --continue

Git が残りのコミットの適用を試みます。さらにコンフリクトがあれば、同じプロセスを繰り返します。

5. リベースの完了確認

すべてのコンフリクトを解決し、リベースが完了したら、ブランチの状態を確認します:

git status
git log --oneline

これで、リベースが正常に完了したことを確認できます。

マージツールを使った効率的なコンフリクト解決

テキストエディタだけでコンフリクトを解決するのは難しい場合があります。マージツールを使うとより効率的に作業できます。

VSCodeを使ったコンフリクト解決

VSCodeはGitコンフリクトの解決に優れたインターフェースを提供しています。

コンフリクトが発生しているファイルをVSCodeで開くと、次のようなインターフェースが表示されます:

// VSCodeでは以下のようなボタンが表示されます
<<<<<<< HEAD
def calculate_total(items):
    total = 0
    for item in items:
        total += item.price
    return total
||||||| merged common ancestors
def calculate_total(items):
    result = 0
    for item in items:
        result += item.price
    return result
=======
def calculate_total(items):
    return sum(item.price for item in items)
>>>>>>> e123456... feature commit message

VSCodeでは「Accept Current Change」、「Accept Incoming Change」、「Accept Both Changes」、「Compare Changes」などのボタンが表示され、視覚的に選択できます。

Git mergetoolコマンドの利用

Gitにはmergetoolというコマンドがあり、設定されたマージツールを起動します:

git mergetool

実行すると、コンフリクトしているファイルごとにマージツールが開きます。

マージツールの設定方法

使用するマージツールを設定するには:

# VSCodeを使う場合
git config --global merge.tool vscode
git config --global mergetool.vscode.cmd 'code --wait $MERGED'

# または他のツール(例:meld)を使う場合
git config --global merge.tool meld

人気のマージツール一覧

  1. VSCode - 無料で使いやすいエディタ内蔵のマージツール
  2. meld - 視覚的なdiffとマージツール(Linux/macOS/Windows)
  3. kdiff3 - 強力な比較とマージ機能(クロスプラットフォーム)
  4. p4merge - Perforceの無料マージツール(クロスプラットフォーム)
  5. Beyond Compare - 有料だが非常に高性能(クロスプラットフォーム)

マージツール使用時のワークフロー

  1. コンフリクトが発生したらマージツールを起動:

    git mergetool
  2. ツール内でコンフリクトを解決(通常、3ペイン表示):

    • 左:ローカルの変更(HEADのバージョン)
    • 中央:結果の編集エリア
    • 右:他のブランチの変更
  3. 結果を保存して終了

  4. 解決後にリベースを続行:

    git rebase --continue

マージツールを使うことで、複雑なコンフリクトでも視覚的に差分を確認しながら効率的に解決できます。

複雑なリベースコンフリクトを回避するためのベストプラクティス

リベースコンフリクトを解決するのは時間がかかる作業です。以下のプラクティスを採用することで、コンフリクトの発生を減らし、発生した場合も対処しやすくなります。

1. 小さく頻繁にコミットする

大きな変更を1つのコミットにまとめるのではなく、論理的に分割された小さなコミットを作成しましょう。

# Bad: 大きな変更を1つのコミットにまとめる
git add .
git commit -m "Add new features, fix bugs, and refactor code"

# Good: 変更を論理的に分割してコミットする
git add feature-files
git commit -m "Add new feature X"

git add bugfix-files
git commit -m "Fix bug in function Y"

git add refactored-files
git commit -m "Refactor module Z for better readability"

小さなコミットは:

  • コンフリクトの範囲を限定できる
  • コンフリクト解決時に理解しやすい
  • 必要なら特定のコミットだけスキップできる

2. 定期的にベースブランチと同期する

長時間開発を行うブランチでは、頻繁にベースブランチ(通常はmain)の変更を取り込みましょう。

# featureブランチで作業中、定期的にmainの変更を取り込む
git checkout main
git pull
git checkout feature
git rebase main

定期的に同期することで:

  • コンフリクトが少量ずつ発生し、管理しやすくなる
  • 大きなリベースによる複雑なコンフリクトを回避できる

3. コミットメッセージを明確に書く

良いコミットメッセージはコンフリクト解決時に変更の目的を理解するのに役立ちます。

# Bad
git commit -m "Fix stuff"

# Good
git commit -m "Fix calculation bug in total price function"

4. .gitattributesファイルを使用する

特定のファイルタイプの改行コードやマージ戦略をプロジェクト全体で統一するために.gitattributesファイルを使用します。

# .gitattributes の例
*.js text eol=lf
*.css text eol=lf
*.html text eol=lf
*.json text eol=lf

# バイナリファイルとして扱うものを指定
*.png binary
*.jpg binary

# カスタムマージドライバーを指定
*.java merge=java

5. 自動マージ戦略のカスタマイズ

特定のファイルタイプに対して、より賢いマージ戦略を設定できます。

# package.jsonファイルの場合にはours戦略を使用(現在のブランチを優先)
git config merge.ours.driver true
echo 'package-lock.json merge=ours' >> .gitattributes

6. インタラクティブリベースの活用

リベース前にコミット履歴を整理すると、コンフリクトを減らせます。

# 直近の3つのコミットを整理
git rebase -i HEAD~3

インタラクティブリベースでは:

  • 関連するコミットをまとめられる(squash)
  • 不要なコミットを削除できる(drop)
  • コミットの順序を変更できる(reorder)

7. ブランチ戦略の見直し

GitFlowやGitHub Flowなど、チームに合ったブランチ戦略を採用し、長期間のブランチ分岐を避けましょう。

# GitHubフローの簡易版
1. mainからfeatureブランチを作成
2. 変更をコミット
3. PRを作成
4. レビュー&議論
5. mainにマージ
6. デプロイ

これらのベストプラクティスを取り入れることで、リベースコンフリクトの発生頻度を減らし、発生した場合も効率的に解決できるようになります。

トラブルシューティング:よくある問題と解決策

Git rebaseを使用する際によく遭遇する問題とその解決策を紹介します。

問題1: リベース中に予期せぬエラーで停止する

error: could not apply 1a2b3c4... commit message
hint: after resolving the conflicts, mark the corrected paths
hint: with 'git add <paths>' or 'git rm <paths>'

解決策:

  1. 現在の状態を確認
git status
  1. コンフリクトの本当の原因を特定するために変更内容を詳しく確認
git diff
  1. 問題を解決できない場合は一旦リベースを中断し、やり直す
git rebase --abort

問題2: 「unable to update local ref」エラー

error: unable to update local ref
fatal: could not update <refname>

解決策:

# 参照を更新
git gc --prune=now
git remote prune origin

# もしくは強制的に参照を更新
git update-ref -d refs/remotes/origin/branch-name

問題3: リベース中に「Your local changes would be overwritten」エラー

error: Your local changes to the following files would be overwritten by checkout:
    <file_name>
Please commit your changes or stash them before you switch branches.

解決策:

# 作業中の変更をスタッシュに退避
git stash

# リベースを実行
git rebase main

# リベース完了後に変更を復元
git stash pop

問題4: 「fatal: refusing to merge unrelated histories」エラー

fatal: refusing to merge unrelated histories

解決策:

# 関連しない履歴でも強制的にマージ/リベース
git pull --allow-unrelated-histories
# または
git rebase --allow-unrelated-histories main

問題5: 複雑すぎるコンフリクトが発生した場合

非常に複雑なコンフリクトが多数発生した場合、リベースは放棄して別の方法を検討した方が良い場合もあります。

解決策:

# リベースを中止
git rebase --abort

# 代わりにマージを実行
git merge main

# または必要なファイルだけを手動でコピー
git checkout main -- specific-file.js

問題6: リベース後に「Non-fast-forward」エラーでpushできない

error: failed to push some refs to 'remote-repo'
hint: Updates were rejected because the tip of your current branch is behind
hint: its remote counterpart.

解決策:

# 履歴が書き換えられているので、強制pushが必要(注意して使用)
git push --force-with-lease  # 安全な強制push

# または他の人も変更している場合はpull --rebaseでの解決を試みる
git pull --rebase origin branch-name
git push

問題7: リベース後のブランチがおかしい状態になった

リベースを誤って適用し、ブランチがおかしな状態になった場合:

解決策:

# reflogで操作履歴を確認
git reflog

# リベース前の状態に戻る
git reset --hard HEAD@{n}  # nはreflogの番号

問題8: 巨大なバイナリファイルのコンフリクト

解決策:

# 常に自分の変更を使用
git checkout --ours -- path/to/binary-file.bin
git add path/to/binary-file.bin

# または常に相手の変更を使用
git checkout --theirs -- path/to/binary-file.bin
git add path/to/binary-file.bin

問題9: リベース中にコミットが欠落した

解決策:

# 最初からやり直す
git rebase --abort

# 欠落したコミットを見つけるために履歴を確認
git log --all --graph --oneline

# コミットが見つかったら、適切なブランチに切り替えてマージ
git checkout branch-name
git cherry-pick missing-commit-hash

これらのトラブルシューティング手法を知っておくと、Git rebaseで発生する様々な問題に対処できるようになります。

実践例:チーム開発でのrebaseコンフリクト解決フロー

実際のチーム開発でよくあるシナリオに基づいて、具体的なリベースコンフリクト解決の流れを見ていきましょう。

シナリオ:機能ブランチのリベース

あなたは feature/new-login ブランチで新しいログイン機能を2週間かけて開発していました。その間に、他のチームメンバーが main ブランチに複数のコミットをマージしました。

  1. 現状確認

    まず、現在の状態を確認します。

    # 現在のブランチとステータスを確認
    git status
    
    # ログを確認
    git log --oneline --graph --all

    現在の状態(イメージ):

    main:      A-B-C-D-E-F (新しいコミット)
                 \
    feature:     B-G-H-I (あなたの作業)
  2. 最新のmainブランチを取得

    # mainブランチを最新に更新
    git checkout main
    git pull origin main
    
    # 元のブランチに戻る
    git checkout feature/new-login
  3. リベースを開始

    git rebase main

    すると、コンフリクトが発生:

    CONFLICT (content): Merge conflict in src/auth/login.js
    Auto-merging src/auth/login.js
    error: could not apply c123456... Add new login form
  4. コンフリクトファイルの確認

    git status

    出力:

    You are currently rebasing branch 'feature/new-login' on 'a234567'.
      (fix conflicts and then run "git rebase --continue")
      (use "git rebase --skip" to skip this patch)
      (use "git rebase --abort" to abort the rebase operation)
    
    Unmerged paths:
      (use "git add <file>..." to mark resolution)
        both modified:   src/auth/login.js
  5. コンフリクトを解決

    VSCodeでファイルを開いて確認すると、以下のようなコンフリクトが見つかりました:

    <<<<<<< HEAD (current change)
    function validateForm(email, password) {
      if (!email || !password) {
        return { valid: false, message: 'Email and password are required' };
      }
      // 新しいセキュリティチェックが追加された
      if (password.length < 8) {
        return { valid: false, message: 'Password must be at least 8 characters' };
      }
      return { valid: true };
    }
    =======
    function validateForm(email, password) {
      // あなたが実装した機能
      if (!email || !password) {
        return { valid: false, message: 'All fields are required' };
      }
      // カスタムのバリデーションロジック
      if (!email.includes('@')) {
        return { valid: false, message: 'Invalid email format' };
      }
      return { valid: true };
    }
    >>>>>>> c123456... (incoming change) Add new login form

    両方の変更を取り込んで解決します:

    function validateForm(email, password) {
      // 両方の変更を統合
      if (!email || !password) {
        return { valid: false, message: 'Email and password are required' };
      }
      // メールフォーマットチェック (あなたの実装)
      if (!email.includes('@')) {
        return { valid: false, message: 'Invalid email format' };
      }
      // パスワード長チェック (main実装)
      if (password.length < 8) {
        return { valid: false, message: 'Password must be at least 8 characters' };
      }
      return { valid: true };
    }
  6. 解決したことを Git に伝える

    git add src/auth/login.js
    git rebase --continue
  7. 次のコンフリクトが発生した場合

    別のコンフリクトが続けて発生することもあります:

    CONFLICT (content): Merge conflict in src/auth/AuthContext.js
    Auto-merging src/auth/AuthContext.js
    error: could not apply d234567... Update auth context

    同様の手順で解決していきます:

    # ファイルを編集して解決
    git add src/auth/AuthContext.js
    git rebase --continue
  8. リベース完了の確認

    すべてのコンフリクトを解決すると、リベースが完了します:

    Successfully rebased and updated refs/heads/feature/new-login.

    変更後の状態(イメージ):

    main:      A-B-C-D-E-F
                          \
    feature:               G'-H'-I' (リベースされた作業)
  9. テストと確認

    リベース後の変更がきちんと動作するか確認します:

    # ユニットテストを実行
    npm test
    
    # 開発サーバーを起動して動作確認
    npm start
  10. リモートリポジトリへのプッシュ

    リベースによって履歴が書き変わっているため、強制プッシュが必要です(注意して使用):

    # 安全な強制プッシュ
    git push --force-with-lease origin feature/new-login
  11. プルリクエストの更新

    すでにプルリクエストを作成している場合は、以下の情報を追加で記載するとレビュアーに親切です:

    このPRをmainの最新に対してリベースしました。 コンフリクトを解決するために以下の変更を行いました:

    • login.js: パスワード長チェックとメールフォーマットチェックの両方を実装
    • AuthContext.js: 新しい認証フローに対応

この流れをチーム全員が理解していれば、複雑なリベースコンフリクトも効率的に解決できるようになります。重要なのは、コンフリクト解決の理由や判断基準をチームで共有することです。そうすることで、将来同様のコンフリクトが発生した際の解決方針が統一されます。

このトピックはこちらの書籍で勉強するのがおすすめ!

この記事の内容をさらに深く理解したい方におすすめの一冊です。実践的な知識を身につけたい方は、ぜひチェックしてみてください!

おすすめ記事

おすすめコンテンツ